【Q&A】電子帳簿保存法って何?お問い合わせが多い8つの疑問を徹底解説!

2024年1月から義務化となる電子帳簿保存法。対応のリミットまで1か月となりましたが、対応の準備はお済でしょうか?

本稿では、そんな電子帳簿保存法について、弊社のお客様からのお問い合わせが特に多いものを8つ取り上げ、それぞれ解説していきます。

「電子帳簿保存法についてあまりよく知らないから不安…」「どうすれば法対応できているのか分からない…」そのような不安やお悩みが本稿で少しでも解決すれば幸いです。

Q1.電子帳簿保存法って何?どんな法律?

A.原則として紙での保存が義務づけられている国税関係帳簿書類について、一定の要件を満たした上であれば、電子データによる保存を可能とすることを定めた法律です。

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電子帳簿保存法は、納税者の国税関係帳簿書類の保存に係る負担を軽減するなどの目的で1998年に創設された法律です。情報化社会の進展を考慮し、納税に係る書類(領収書や請求書など)についての電子化(ペーパーレス化)に取り組みたい事業者が、書類の電子化の際に守るべきルールが記載されています。

電子帳簿保存法では、電子保存する書類の種類や、電子データ化に至るまでの方法によって、「電子帳簿等保存」「スキャナ保存」「電子取引データ保存」の3つの保存区分に分類されます。

もともと電子帳簿保存法は、国税関係帳簿書類の電子化に取り組みたい事業者のみに適用される法律でしたが、2022年1月の法改正で電子取引データの紙保存が禁止されたことにより、全事業者に対応が求められる法律となりました。

電子帳簿保存法とは

電子帳簿保存法の3つの保存要件区分

Q2.どうして電子帳簿保存法に対応しないといけないの?

A.「電子取引データ保存」が全事業主に対して義務化となったからです。

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Q1.でも少し触れましたが、2022年1月の法改正で電子帳簿保存法の3つの区分のうちの1つである「電子取引データ保存」が全事業主に対して義務化となりました。それにともない、例えば電子ファイル(PDFなど)で受け取った領収書や請求書などを、紙にプリントアウトして保存することはNGになりました。

Q3.電子取引データ保存って何?

電子帳簿保存法の3つの保存区分のうちの1つで、電子的な方法で授受した取引関係情報の記載がある書類について、電子データのまま保存する際の要件区分です。

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簡単にいえば、電子ファイルで受け取ったり送ったりする書類を、電子ファイルのまま保存する際のルールです。

もともとは、取り組みたい事業者のみに適用されるルールでしたが、2022年1月の法改正により全事業者に対して義務化となりました。そのため、世間的に言われている「電子帳簿保存法対応」は、ほとんどの場合がこの「電子取引データ保存への対応」を指します。

(改正前)電子的な方法で授受した取引関係情報の記載がある書類について、電子のまま保存しても良い。
(改正後)電子的な方法で授受した取引関係情報の記載がある書類について、電子のまま保存しなければならない。

電子取引データ保存の対象となる取引と書類は以下の図の通りです。

電子帳簿保存法3つの区分

電子取引データ保存の図

Q4.結局、どうすれば法対応したことになるの?

2024年1月からは、電子ファイル(PDFなど)で授受する納税に関する情報(取引日付、取引金額、取引先名)が記載された書類について、4つの要件を満たした状態で保存するようにしましょう!

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電子ファイル(PDFなど)で授受する納税に関する情報(取引日付、取引金額、取引先名)が記載された書類について、4つの要件を満たした状態で保存する必要があります。

4つの条件は以下の通りです。

電子取引データ保存4つの要件

Q5.2024年1月以降も電子取引データの電子保存が猶予されるって聞いたんですが……?

所轄税務署長が、電子取引データを保存要件に従って保存できなかったことについて相当な理由があると認め、なおかつ所轄税務署長の求めに対し、電子データと出力書面(紙)の両方を提出できるようにしている事業者は、2024年1月以降も電子取引データの電子保存についての猶予対象になります。

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令和5年度の税制改正大綱にて、2024年1月以降にも、電子取引データの電子保存を行うことができない事業者に対して、新たな猶予期間を設けることが公表されました。

電子取引の取引情報に係る電磁的記録を保存要件に従って保存をすることができなかったことについて相当の理由がある保存義務者に対する猶予措置として、申告所得税及び法人税に係る保存義務者が行う電子取引につき、納税地等の所轄税務署長が当該電子取引の取引情報に係る電磁的記録を保存要件に従って保存をすることができなかったことについて相当の理由があると認め、かつ、当該保存義務者が質問検査権に基づく当該電磁的記録のダウンロードの求め及び当該電磁的記録の出力書面(整然とした形式及び明瞭な状態で出力されたものに限る。)の提示又は提出の求めに応じることができるようにしている場合には、その保存要件にかかわらず、その電磁的記録の保存をすることができることとする。

(注)上記の改正は、令和6年1月1日以後に保存が行われる国税関係書類について適用する。

令和5年度税制改正の大綱(2022年12月23日 閣議決定 財務省)

猶予が認められる相当の理由について、現時点で政府からの具体的な記述はありません。売り上げ高での基準が設定されるのではないか等様々な予測がありますが、こればかりは政府の発表を待つ形にはなります。

夏ごろに国税庁から公表されると予想されている電子帳簿保存法についての「一問一答」にて、基準が示される可能性があります。また情報が分かり次第、皆様にお伝えいたします。

(2023年8月8日追記)
2023年6月中旬ごろに公表された「一問一答」についてまとめた記事はこちらになります。

また、電子帳簿保存法に関して、2024年1月以降の猶予などを決定した「令和5年度税制改正大綱」について要点をまとめた記事がございますので、こちらも参考にしてみてください。

Q6.相手から受け取ったものだけじゃなくて、自分から送ったものも電子取引データ保存の対象になるんですか?

相手から受け取ったものだけでなく、自らが取引相手に送った電子取引データについても保存の対象になります。

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電子帳簿保存法にも取引情報の授受という記載があります。

 電子取引 取引情報(取引に関して受領し、又は交付する注文書、契約書、送り状、領収書、見積書その他これらに準ずる書類に通常記載される事項をいう。以下同じ。)の授受を電磁的方式により行う取引をいう。

電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律

電子帳簿保存法対応を考える際は、取引先から受け取る書類だけを考えるのではなく、貴社から取引先に送る書類も考えなければいけない点に注意しましょう。

Q7.電子保存したデータは何年間保管すればいいの?

基本的には7年間です。

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取引相手から受け取った電子取引データ、自らが取引相手に送った電子取引データ、この両方に対して基本的に7年間の保管義務があります。欠損金額がある場合では保管期間が10年間となりますので注意しましょう。そのあたりは、紙で保管する際と同じルールになっています。

Q8.電子帳簿保存法に違反したら罰則があるって本当ですか?

本当です。具体的には「青色申告の承認の取り消し」と「10%の重加算税」が課される可能性があります。

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青色申告の承認取り消しのケースとしては、以下のようなものがあります。

帳簿書類を提示しない場合
税務署長の指示に従わない場合
隠蔽又は仮装を行った場合
電子帳簿保存法の要件に従っていない場合

ただし、国税庁の一問一答によると、取引の事実がきちんと電子データ以外で確認される場合は、直ちに罰則は科されないとのことです。罰則を与えるか否かは所轄税務署の判断にはなりますが、意図的な数値の改ざんなど、悪質なものでない限りは、すぐにすぐ罰則があるとは考えにくいです。

まとめ

改正電子帳簿保存法は2024年1月より一部の猶予対象者を除く全事業者に対して義務化となります。1998年の法律制定時とは違い、インターネットが日常的になっている現在では、法対応に向けて何もしなくても大丈夫という事業者はほとんどないと考えられます。対応しなければすぐに罰則があるというわけではないですが、違法状態で取引書類を運用することが無いように、2023年12月までに対応の準備を済ませるようにしましょう。

本稿では、お問い合わせが多い8つの疑問をご紹介しました。ここで紹介した以外にも電子帳簿保存法関係でのお困りごとがあれば、画面右上のお問い合わせ(資料請求)からお気軽にご質問ください。

電子帳簿保存法とは何なのか、何をすればいいのかが分かれば、次のステップは、どうやって対応するかです。

電子帳簿保存法にうまく対応するコツは、正しい対応ステップを踏むことです。電子帳簿保存法対応を完了するまでには、電子保存しなければいけない書類の洗い出しや、ワークフローの整備など、意外にやることが多いです。それらを正しい順番でクリアしていくことで、失敗しない、スムーズな法対応を実現できます。

その第一歩として、まずは電子帳簿保存法への理解を深めるところから始めていきましょう。本稿が少しでも皆様のお役に立てたなら幸いです。

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