2022年1月に電子帳簿保存法が改正され、電子取引データについての電子保存が義務化されました。2023年11月現在は2年間の移行期間にあり、2024年1月より改正電子帳簿保存法は完全義務化されます。
電子帳簿保存法における電子取引とは、取引関係書類の電子データ(PDFなど)によるやり取り全般を指します。メールでやり取りする見積書や請求書、領収書などはほとんどの場合が電子取引に該当し、電子データのままで保管することが義務付けられます。
本稿では、電子帳簿保存法におけるFAXでの取引について解説します。
FAXでの取引は送受信方法によって電子取引になるかが決まる
電子取引に当たる場合は紙に印刷しての保管はNG
FAXの送信者と受信者の状況によっては解釈が難しい
目次
【結論】電子取引になるかはFAXの送受信方法で決まる
FAX取引は、国税庁により以下のように定められています。
ファクシミリを使用して取引に関する情報をやり取りする場合については、一般的に、送信側においては書面を読み取ることにより送信し、受信側においては受信した電磁的記録について書面で出力することにより、確認、保存することを前提としているものであることから、この場合においては、書面による取引があったものとして取り扱うが、複合機等のファクシミリ機能を用いて、電磁的記録により送受信し、当該電磁的記録を保存する場合については、法第2条第5号に規定する電子取引に該当することから、規則第4条に規定する要件に従って当該電磁的記録の保存が必要となることに留意する。
電子帳簿保存法取扱通達の制定について(国税庁)
FAXでの取引について、書面をスキャンして送信し書面で受領するタイプと、複合機などのfax機能を介してデータを送受信するタイプの2パターンの記述がありますが、実際にはeFAXなどのインターネットFAXでデータを受信するタイプなどもあり、FAXによる取引の種類は多岐にわたっています。
基本的に、FAXを書面で出力して受け取る運用をしている場合は書面で受領したものとみなされ、紙での保存が認められます。電子保存は必須ではありません。
複合機などを利用して、受領したFAXを書面に出力せず、PDFや画像など、電子データ化して保存する運用をしている場合には電子取引となり、電子保存が必須となります。Faxで受信したデータをPDFに変換しメールで受信できるeFAXも、もちろん電子取引になります。
仮に複合機を利用していても、受信したFAXを自動でPDFにして保存するような設定を行っておらず、紙で出力し保管するような運用方法をとっている場合は、電子取引にはならないと解釈できます。
電子取引に当たるかどうかの判別ポイント
送信側:書面をスキャンして送るタイプ以外の方法を使ったかどうか(PDFファイルなどに変換して送信したかどうか)
受信側:PDFファイルなどに変換した(された)状態で受信したかどうか
FAX取引が電子取引に該当するかどうかは、PDFに変換したか否かで大まかに判別はできますが、「うちの会社でやっている方法は電子取引に該当するの…?」ということもあると思いますので、そのような疑問は早めに解決しておくようにしましょう。
普段のFAXの運用方法が書面に出力の場合は問題ありませんが、PDFに出力するなどの運用をしている場合は電子帳簿保存法への対応が必要です!
今まではPDFに出力したものを紙に印刷して保管していたけど、それがダメになるってことか!
1.FAXで受信したPDFファイルを紙に印刷して保管することは認められなくなる
FAXでPDFファイルとして受信したにも関わらず、そのファイルを紙に印刷して保管する方法は、2024年1月からは認められなくなります。電子帳簿保存法の電子取引データの保存については、全事業主が対象となりますので、FAXの運用が電子取引に当てはまる場合は、きちんと対応するようにしましょう。
電子取引データ保存について、皆様が疑問に持たれていることをまとめたこちらの記事も参考にしてみてください。
2.【FAXならではの問題】送信者と受信者で電子取引かどうかの解釈が異なる場合
メールでの電子取引であれば、送信者が請求書のPDFをメールに添付して送信し、受信者はメールに添付されているPDFを受け取るため、送信者も受信者も請求書PDFファイルが電子取引データに該当し、データのまま保存することになります。
しかし、FAXの場合、送信者が書面をスキャンするタイプのFAXを使用し、受信者側がそれをeFAXで受け取る。という場合が考えられます。この場合、送信側は電子取引に該当しませんが、受信者側は電子取引に該当するという状態が生まれます。
書面をスキャンして送っただけだからこれは電子取引じゃないね!
eFAXで受け取ったからこれは電子取引だね!
この場合、受信者にとっては電子取引ですので、送信者にとっても電子取引に該当し、送ったFAXデータを電子化し保存しなければならないということも理屈上は考えられます。
しかし、送信者は受信者がペーパーレスFAXを使っているかどうかを判別する方法がありません。このため、現状では、送信者が紙の書面をFAXした場合には、受信者の受信方法にかかわらず電子取引には当たらない、また、受信者は送信者の送信方法にかかわらず、自身の受信方法次第で電子取引に該当するかどうかが変わると解釈することが合理的ということになるでしょう。
こういった細かい解釈の部分に関しては、今後の法改正に注目です。
3.まとめ
FAX取引については、送受信の方法により、電子取引に該当するかどうかが変化します。また、現状では送信者と受信者の間でも電子取引に該当するかの解釈が異なる場合があります。
FAXをPDFなどで受領している場合は電子取引の対象となるため、電子帳簿保存法への対応が必要となります。
電子帳簿保存法への対応は、まずは電子帳簿保存法について知るところから始めましょう。
そのうえで、お早目の対応をおすすめいたします。
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