中小企業が電子帳簿保存法に対応し、電子帳簿保存システムを導入するには?

2022年1月より施行された電子帳簿保存法。2年の移行期間を経て、2024年1月からは完全義務化されます。

しかし、立派な法改正でありながらも、同じ国税関係の制度である「インボイス制度」の陰に隠れ、「まだ対策できていない」「改正されることを知らない」「そもそも電子帳簿保存法って何?」という声が多いのもこの電子帳簿保存法です。特にこの声は中小企業や小規模事業者の方に多いです。

本稿では、そんな電子帳簿保存法改正の概要を中小企業の目線からさらっと解説するとともに、電子帳簿システム導入に際し、「IT導入補助金」などの中小企業必見のお得な制度についてご紹介します。「電子帳簿保存法についてはもう知ってるよ!」という方は、メリット・デメリット以下からお読みください!

※12/20追記
令和5年度税制改正大綱が公表され、電子取引データの電子保存の猶予期間が延長、実質的に恒久化されることが決定しました。こちらの記事にて詳細を解説しておりますので、ご覧ください。

このコラムのポイント
①電子帳簿保存法の3つの区分とは「電子帳簿等保存」「スキャナ保存」「電子取引データ保存」!
②「電子取引」データは電子データのまま保存しなければならない!
③電子帳簿システム導入で中小企業が得られるメリットは大きい!
④「IT導入補助金」を利用してお得にシステムを導入し法改正に対応しよう!

1.電子帳簿保存法とは

1-1.電子帳簿保存法ってなに?

『電子帳簿保存法』とは、読んで字のごとく「電子データの帳簿(国税関係書類など)の保存の方法についてのルールを定めた法律」になります。
昨今「ペーパーレス化」という言葉をよく耳にしますが、早い話、「国税関係書類やその他の取引関係書類をペーパーレス化して業務改善しようぜ!ただしきちんとルールを設けるから守ってね」というのが、電子帳簿保存法です。

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国税庁

業務効率化のために取引書類をペーパーレス化していこうぜ!2022年1月にルールを変更したから、2024年1月からはみんな守ってね!

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企業

OK!
『電子帳簿保存法』=『取引書類を電子化(ペーパーレス化)して保存する際のルールを決めた法律』ということが分かったぞ!

1-2.電子帳簿保存法の3つの区分

さて、『電子帳簿保存法』が国税関係書類やその他の取引関係書類を電子的に保存するための法律ということが分かったところで、具体的にどういう行為が電子帳簿保存法の適用対象になるのかというのを見ていきましょう。

電子帳簿保存法では、保存区分が①電子帳簿等保存、②スキャナ保存、③電子取引データ保存の3種類に分けられています。一つずつ簡単に説明します。

電子帳簿等保存(従来通り紙で保存するなら関係ない)
「電子的に作成した帳簿・書類をデータのまま保存」することです。
例)会計ソフト等を利用して作成した決算関係書類をそのまま電子データで保存する

スキャナ保存(従来通り紙で保存するなら関係ない)
「紙で受領・作成した書類をスキャンして画像データで保存」することです。
例)取引相手から受け取った領収書を、スキャンして保存する

電子取引データ保存(従来通り紙で…とはならない!)
「電子的に授受した取引情報をそのままデータで保存」することです。
例)取引相手から電子データで受け取った領収書を電子データのまま保存する
※領収書や請求書のように、紙でやりとりしていた場合にその紙を保存しなければならない内容をデータでやりとりした場合=『電子取引』と考えると分かりやすいです。

3つの区分のうち、「電子帳簿等保存」「スキャナ保存」に関しては、従来通り紙で保存していても法律上何も問題は発生しません。しかし、「電子取引データ保存」に関しては、2022年1月の改正により「義務」となったため、きちんと対応する必要があります。守らないと法律違反になるため当然罰則があります。

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国税庁

電子データで受け取った取引関係書類に関しては電子データのままで保存しておいてね!守らないと罰則があるから気を付けて!

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企業

OK!
電子帳簿等保存・スキャナ保存については「やる人だけ対応してね」だけど、電子取引データ保存については「全員対応してね」ということだね!

1-3.電子取引データ保存に関するルール

改正された電子帳簿保存法では、電子取引データ保存が義務化され、取引相手から受け取った取引関係書類の電子データを、電子データのまま保管・保存しなくてはいけなくなりました。

しかし、単に保存すれば良いというわけではありません。保存の方法にもきちんと決まりがあります。
大きく分けるとルールは4つあります。

①システム概要に関する書類の備え付け
「電子データをこういうふうに保存していますよ」という説明書があればOKです。ベンダーが提供するシステムを導入した場合は付属していることが多いですが、確認はしておきましょう。

②ディスプレイ・プリンタ等を備え付ける(見読性の確保)
保存している電子データを見る装置があればOKです。こちらは特に気にする必要はありません。

③改ざん防止のための措置(真実性の確保)
「タイムスタンプ付与」や「履歴が残るシステムでのデータの授受・保存」といった方法で、電子データが改ざんされていないことを証明できる機能を備えているシステムを利用する必要があります。

④「⽇付・⾦額・取引先」で検索できるようにする(検索機能の確保)
保存している電子データについて、最低限「⽇付・⾦額・取引先」の三項目で検索でき、要求された際にすぐにデータを呼び出せる機能があるシステムを利用する必要があります。

以上のルールをすべて満たした方法で、電子取引データを保存する必要があります。
※スキャナ保存を導入する場合の保存ルールも同様です。

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国税庁

「システム概要書類の備付」「見読性の確保」「真実性の確保」「検索機能の確保」これらのルールを守ってデータを保存してね!

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企業

なるほど!
データの保存方法にもルールがあることが分かったぞ!

2.中小企業が対策するには

2-1.そもそも中小企業は対策する必要があるのか?

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中小企業

電子帳簿保存法なんて聞いたことないし、うちには関係ない…

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国税庁

関係あります!
特に電子取引データの保存については、2024年1月までに対応の準備を済ませておいてください!

「電子帳簿保存法なんて聞いたことないし、うちには関係ない…」
電子データで書類を管理していない企業にとって、2022年1月までは、電子帳簿保存法は本当に関係のない話でした。

しかし、改正された電子帳簿保存法により、「電子取引データ」に関するデータ保存について、電子データのまま保管・保存することが、すべての事業主に義務づけられました。これにより、中小企業や小規模事業主・個人事業主も、電子帳簿保存法は他人事ではなくなってしまいました。

2024年1月までに、電子取引データの保存に対して、定められた対応をする必要があります。

2-2.具体的にどう対応するのか?

A.貴社でシステムを作る

特に小規模事業主や個人事業主の方にお勧めなのが、電子帳簿保存法の電子取引データ保存のルールをクリアしたシステムを自分で作成する方法です。システムを導入するのはコストがかかるしちょっと…という方のために、国税庁がHPなどで、対応の方法を解説してくれています。

国税庁『電子取引データの保存方法をご確認ください』

国税庁『電子取引データの保存方法をご確認ください』

「真実性の確保」や「検索機能の確保」を満たした、データ保存システムの作成方法になっていますので、詳しくは国税庁のHPをご覧ください!
国税庁・電子帳簿保存法参考資料(各種規程等のサンプル)

B.ベンダーのシステムを導入する

上記の方法で電子取引データを保管・保存することもできますが、取引データが多かったり、複数人でのデータ管理をしたり、使いやすさを重視したりしたい場合は、ベンダーが提供している電子帳簿保存システムを導入することをお勧めします。

3.中小企業が電子帳簿保存システムを導入するメリット

中小企業において、電子帳簿保存システムを導入することで考えられるメリットを5つ挙げます。
現在の業務の方法に応じて、メリットが大きい部分や少ない部分があると思うので、貴社の状況と照らし合わせながらご覧ください。

3-1.法改正に対応できる

こちらは言わずもがなではありますが、電子帳簿保存システムを導入することで、法改正により義務化された電子取引データ保存要件をクリアすることができます。さらに、多くのベンダーでは、法改正のたびにシステムを変更し対応してくれるため、今後の法改正に対する心配も必要ありません。

3-2.紙のコストを削減・保管スペースも削減できる

電子取引データを紙に出力する必要がなくなるため、紙コストを削減できます。
また、電子帳簿保存システムでは、電子取引データのみならず、『スキャナ保存』にも対応しているシステムがほとんどです。もちろん、スキャナ保存についても法改正に対応していますし、今後の法改正にも対応してくれるケースがほとんどでしょう。
紙の取引関係書類をスキャンしデータとして保存した場合、もとの紙の書類は破棄しても良いため、ファイリングして保管する必要がなくなり、保管スペースが必要なくなります。

3-3.検索性を向上できる

「⽇付・⾦額・取引先」での検索機能を備えることが最低条件の電子帳簿保存システムでありますが、多くのシステムではそれ以上の検索条件を指定し、目的のデータをすみやかに見つけ出すことができます。そもそもペーパーレス化することで、大量の書類の中から目的の書類を見つける労力を軽減することができます。

3-4.情報管理の向上・紛失リスクを軽減できる

多くの電子帳簿保存システムはクラウド型といって、災害などによるデータ紛失に強い形式のシステムです。一度システムに取引データを保存すれば紛失のリスクはほとんどありません。
また、電子帳簿保存システムには、過去の古いデータを自動で削除してくれるようなものもあります。ファイルが増えすぎて管理に困るという心配もありません。

3-5.属人化リスクを軽減できる

導入するシステムにもよりますが、誰しもが使いやすいようなシステムを導入することで、業務の属人化リスクを軽減することができます。導入時にしっかりと比較検討し、貴社に合うシステムを導入することがカギになります。

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中小企業

電子取引データの保存にはどっちみち対応しないといけないし…
ついでにスキャナ保存にも対応して、一気にペーパーレス化するのも良いか…

4.中小企業が電子帳簿保存システムを導入するデメリット

4-1.システム導入にコストがかかる

システムの導入にはコストがかかります。コストはベンダーによって様々です。多くの場合、導入費用と運用費用(維持費用)の二つが必要です。
システム導入検討時には、いくつかのシステムを比較して、最も貴社にあったコストパフォーマンスが良いシステムを選ぶようにしましょう。

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中小企業

システム導入して法改正対応&ペーパーレス化したいけど、コストがなぁ…

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国税庁

そんなあなたに『IT導入補助金』があります!

5.IT導入補助金2022

5-1.IT導入補助金とは

IT導入補助金とは、正式名称を「サービス等生産性向上IT導入支援事業」という、中小企業・小規模事業者が生産性の向上と業務効率化を目的としたITツールを導入する際の、一部経費を国が支援する制度です。

平成28年度からスタートし、今年度で6年目になる制度です。

5-2.補助の対象と金額

IT導入補助金には「通常枠(A・B類型)」と「セキュリティ対策推進枠」があり、おそらく多くの中小企業がシステム導入時に関係のある「通常枠(A・B類型)」では、補助率が1/2となっており、最大で導入費用の半額までの補助金が出ます。
IT導入補助金2022のHPにて、詳細な記述がありますので、詳しく知りたい方はそちらをご確認ください。
IT補助金2022HP(一般社団法人サービスデザイン推進協議会)

IT補助金2022の恩恵にあずかるには、IT補助金2022が定めた中小企業の基準に当てはまる必要があります。
IT補助金2022の基準が自社に当てはまるかどうかについては、可能であれば事前に確認しておく方が良いでしょう。もし自社が当てはまっているのか分からない場合は、電子帳簿保存システム導入を考えているベンダーに相談してみるのも良いかもしれません。申請の手続きについても、ベンダーに相談すると協力してくれるケースが多いので、IT導入補助金を積極的に活用して、電子帳簿保存システムを導入してみましょう!

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中小企業

IT導入補助金2022最高!
これでうちもペーパーレス化の波に乗るぞ!

6.まとめ

いかがでしたでしょうか。

電子帳簿保存法の改正は、これまで電子帳簿保存法に関係がなかった企業も含めて、全事業主に対して影響を与える法改正となっています。知名度こそさほど高くないかもしれませんが、きちんと対応する必要があります。

システムを導入する場合は、1日2日では導入できない場合も考えられます。対応は余裕をもって早めに行いましょう。

システム導入による電子帳簿保存法対応は、IT導入補助金が募集されている今がチャンスです。
ぜひ、このチャンスを逃さないよう、導入をご検討ください。

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